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長い文章ってどう書くの?

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みなさん、いらっしゃいませ。

1文はわかったけれど、長い文章をどうやったら書けるか、
ということについて書きます。

小論文などでない限り、結論は最後に来ます。
説明文、論説文などでは、最後の1文が結論です。
小説では、最後で決着します。
(エピローグなどがある場合がありますが)

最後の1文が話のオチになると考えてください。
ただ、オチの1文しかないと、説得力に欠けてしまうことが多々あります。
試しに、結論の1文だけ読んでみてください。
「なんでよ〜?」と思いませんか?

結論の1文は大切です。
最後の1文のスマッシュヒットがきちんと決まるように、
その前のすべての言葉が存在する
と考えると、
すべての言葉に存在意義があるということで、
話を組み立てやすくなると思います。

基本的に最後の1文は1つしかないので、
1つの文章で1テーマだと思ってください。
2つの話を同時にする人はいませんので。

段落というものがあります。
これも、段落ごとに1つのテーマで書いてください。
段落内で意味のまとまりがなくなってはいけません。

段落のテーマ(要旨)をつないでいくと、
文章の構造が見えてきます。

いくつかの段落が1つのテーマについて書いてあるとき、
まとめて意味段落というように言います。

例えば、僕(高校生とします)が
ある大学の文学部哲学科の美術史コースに入学したいとして、
志望動機を書いたとしましょう。

ここから〜
私は美術の歴史のテーマの中でも、
特にイコノロジー(図像解釈学:図とか絵とかに描かれているものの意味を解釈する)を研究したい。
なぜなら、絵画に描かれている物に託された隠れた意味は、
描かれた絵画の役割を示すものだと思うからだ。
つまり、絵画を描いてくれと頼む人と、絵画を描く人の
それぞれの考えるところや、彼らのお互いの力関係、
さらには絵画の描かれた時代の権力者の影響が絵画に表れていると考えられる。
さらに、絵画に描かれた物は
その絵画の描かれた当時の社会一般の人々の生活の文化、一般的な考え方を表しているので、
今まで美術の歴史学で取り上げられなかった絵画のテーマを発見したり、
新しい解釈を付け加えたりすることで、歴史学での常識を変えることができるかもしれないと、
私は期待している。
私は現在高校生である。
高校の授業で、エル・グレコの受胎告知という絵画の絵画に描かれた物の意味を学んだ時に、
初めて絵画に込められた意図が分かって衝撃を受けた。
そして、絵画の鑑賞にはイコノロジーに詳しくないといけないことを理解した。
私は、もっと他の絵画に込められた意図も理解したい。
しかし、高校生として触れることのできる絵画は有名な絵画に限られていて、
自由に様々な絵画を見ることすらできない。
また、物の持つ隠された意味に対する知識も十分に得られることができない。
さらに、美術の歴史を研究する先生方や先輩、同学年の学生と議論することで、より深く、
また独りよがりでない絵画の見方を身に付けたいと思っている。
そのため、大学という研究の場で学ぶことを望んでいる。
私はA大学文学部哲学科に入学し西洋美術史を専攻することを志望する。

注)
哲学:人間とは何か、この世界とは何か、どう生きるべきかを研究する学問

〜ここまで


最後の文を文の初めにも書いてもいいです。
(小論文ではそちらを推奨)

志望動機なので、
目いっぱい、大学で勉強したいということをアピールしたつもりです。
段落分けをすると次のようになるはずです。


ここから〜
1段落目
私は美術の歴史のテーマの中でも、
特にイコノロジー(図像解釈学:図とか絵とかに描かれているものの意味を解釈する)を研究したい。

2段落目
なぜなら、絵画に描かれている物に託された隠れた意味は、
描かれた絵画の役割を示すものだと思うからだ。
つまり、絵画を描いてくれと頼む人と、絵画を描く人の
それぞれの考えるところや、彼らのお互いの力関係、
さらには絵画の描かれた時代の権力者の影響が絵画に表れていると考えられる。
さらに、絵画に描かれた物は
その絵画の描かれた当時の社会一般の人々の生活の文化、一般的な考え方を表しているので、
今まで美術の歴史学で取り上げられなかった絵画のテーマを発見したり、
新しい解釈を付け加えたりすることで、歴史学での常識を変えることができるかもしれないと、
私は期待している。

3段落目
私は現在高校生である。
高校の授業で、エル・グレコの受胎告知という絵画の絵画に描かれた物の意味を学んだ時に、
初めて絵画に込められた意図が分かって衝撃を受けた。
そして、絵画の鑑賞にはイコノロジーに詳しくないといけないことを理解した。
私は、もっと他の絵画に込められた意図も理解したい。

4段落目
しかし、高校生として触れることのできる絵画は有名な絵画に限られていて、
自由に様々な絵画を見ることすらできない。
また、物の持つ隠された意味に対する知識も十分に得られることができない。
さらに、美術の歴史を研究する先生方や先輩、同学年の学生と議論することで、より深く、
また独りよがりでない絵画の見方を身に付けたいと思っている。
そのため、大学という研究の場で学ぶことを望んでいる。

5段落目
私はA大学文学部哲学科に入学し西洋美術史を専攻することを志望する。


〜ここまで

1段落目で、研究したい内容について宣言をしています。
2段落目で、研究の社会的な意義について述べています。
3段落目で、自分にとっての意義について述べています。
(大学の学科選びはその後の人生を大きく左右するので、
自分の内面からの強い動機がないと意味ありませんからね)
4段落目で、大学に入って勉強する意義について述べています。
(大学に入ることで手にしたいものについてです)
5段落目で、大学に入りたいと宣言しています。

1,2,3,4段落で、5段落目の最後の文の根拠となり、説得力と強めるもの(自分の主張の援護射撃)について書かれています。

文章の構造(援護射撃の構造)についてみていきましょう。
1段落目で具体的に何を研究したいのかについて述べています。
研究したいテーマの先生がその学科にいらっしゃらないと、
研究室に入れませんので、大学に入りにくいです。
2段落目で自分の選んだ研究内容が
実際に大学で研究する価値があるのかについて述べています。
3段落目で自分の中の熱く強い思いとその根拠となる出来事
(一番の根拠の根底になるものです)を述べています。
4段落目で大学に入らないと思うように研究できないということとともに、
大学で何を得たいのかについて述べています。
つまり、研究する場が大学でないといけないということの根拠を述べています。
5段落目での最終的な結論のための論拠が1〜4段落で書かれていて、
つまり、最後の文の援護射撃となっています。


図解するとこのようになります。
文章術
すべての文章は段落ごとに流れがあり、
図解できるはずです。
反対の事例や説、具体例を挙げたり、似たような説を挙げたりして、
言いたいことの意味を明らかにし、説得力を強くしていきます。
この図を理解できると文章の大意を理解したことになります。
(国語で、問題文を読む第一歩です)


1文しか書かないとなると、5段落目の最後の1文のみを書くことになります。
これだけだと、ただの子供のダダにみえなくもないです。
説得力0ということです。
複数の文にすると、援護射撃がついて、
説得力がどれだけ増したかわかると思います。


文章を書く際は、
書き慣れていないときは特に、1文を40文字ぐらいにするといいと思います。
そうすると、主語と述語の対応関係がきちんととれた文章になりやすいです。
長いと「あれれ?」ということになりかねないので。

わかりやすく、伝えたいことが目いっぱい伝わるような文章を
書くために気を付けることは以上です。
練習して、人に見せて、
わかりにくいといわれたところを直して、
それを繰り返せば身につくはずです。

特に入試の小論文で気を付けることは次のページです。
このページの最後に、600字程度の小論文としてまとめたものを載せておきます。





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