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特に入試の小論文で気を付けること

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みなさん、いらっしゃいませ。

入試の小論文は目的が決まっています。
大学に入学して勉強するのに、十分な思考力があり、
十分にしっかりした動機があるということをアピールするためのものです。
決して大学の先生とお見合いをするのではありません。

感じた事、感想などを結論に持ってきてはいけません。
感じた事、感想を結論に持ってくるということは、
「私、こう感じるんだけど、あなたどお?」と聞いていることになり、
「採点官と気が合うから入学させてよ」と言っているようなものだからです。
そういうのは恋愛とか入社試験で求められるものです。
大学は思想、考えなどを論理的に学ぶところです。
ですから、論理的に考えとその根拠を述べて、入学していただきたい。

やりたい研究をやらせてくださる指導教官がいないと入学しても不幸なので、
ちゃんと調べて、入学したい学科にいらっしゃることを確かめたら、
「その先生にお世話になりたいです」と暗に述べるべきです。
そうでないと、志望動機がないも同然ですから。
(大学名で選ぶことも大事ですが、
お世話になりたい先生がいらっしゃるかどうかのほうが
就職先が好みの分野かどうかにかかわるので
将来的に大事だと思います)

小論文では考えを述べると同時に、根拠を書かねばなりません。
でないと、隣の人と万が一同じ考えだった場合、
カンニングしたと思われてしまうからです。
きちんと自分の考えを述べられる大人として入学してください。
根拠については、自分の体験から述べるべきです。
自分の体験は唯一無二のオリジナルだからです。
そこから、議論を始めてください。

よく考えてないことについて述べようとして、
予定調和な文章を書く人がいます。
きちんと考えていないことかどうかは、
見る人が文章を見ればわかりますので、
「誰か他の人の考えを丸写ししたな」と非常に良くない印象を受けます。
裏を返すと自分の考えがないことを暗にアピールしてしまっているので、
できる限り自分の考えを自分の言葉で書きましょう。

字数制限ぎりぎりまで、アピール時間があると思って、
内容の濃いものを書けるように訓練してください。
(テレビなどで、宣伝タイム30秒もらった芸能人の人が
10秒で終わらせることなんてないでしょ?)


最後に、長い文章ってどう書くの?で触れた
小論文を600字程度にまとめたものを載せておきます。
1文1文対応しています。

ここから〜

私は美術史の中でも、特にイコノロジーを研究したい。

なぜなら、絵画のモチーフの暗示する物象は
描かれた絵画の役割を示唆するものだと思うからだ。
つまり、絵画の発注者と製作者のそれぞれの思惑や、お互いの力関係、
さらには当時の権力者の影響が表れていると考えられる。
さらに、取り上げられたモチーフはその絵画の描かれた当時の社会風俗、社会思想を表しているので、
今まで美術史で取り上げられなかった絵画のモチーフを発見したり、
新たな解釈を付け加えたりすることで歴史上の通念を覆せるかもしれないと期待している。

私は現在高校生である。
高校の授業で、エル・グレコの受胎告知という絵画のモチーフの意味を学んだ時に、
初めて絵画に込められた意図が分かって衝撃を受けた。
そして、絵画の鑑賞にはイコノロジーの素養も必要であることを理解した。
私は、もっと他の絵画に込められた意図も理解したい。

しかし、高校生として触れることのできる絵画は有名な絵画に限られており、
自由に様々な絵画を見ることすらできない。
また、暗示する物象に対する知識も十分に得られることができない。
さらに、美術史を研究する先生方や先輩、同学年の学生と議論することでより深く、
また独りよがりでない絵画の見方を身に付けたいと思っている。
そのため、大学という研究の場で学ぶことを望んでいる。

私はA大学文学部哲学科に入学し西洋美術史を専攻することを志望する。

注)
イコノロジー:図像解釈学 (ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典より)
物象:物の形。また、自然の姿 (デジタル大辞泉より)
モチーフ:文学・美術などで、創作の動機となった主要な思想や題材。(デジタル大辞泉より)
哲学:人間とは何か、この世界とは何か、どう生きるべきかを研究する学問

〜ここまで

参考になると良いです。
頑張ってください。




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