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○○の解釈



憲法第9条の解釈

掲載日 2020年2月24日

憲法第9条の解釈をしたいと思います。

解釈ですので、憲法の文言として書かれている内容を読むだけで、
僕の個人的な意見は入りませんので、
ご了承ください。
(僕の意見は僕の意見として明示したいと思います。
また、最後の最後に、
自分の解釈を元にした「僕の提言」を入れたいと思います。)

辞書は前文と同じ「スーパー大辞林3.0」を使っています。

日本国憲法には以下のように
憲法第9条が書かれています。

第二章 戦争の放棄
〔戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認〕

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。



一つ一つ読んでいきましょう。


まず、章題として
第二章 戦争の放棄
とあります。

「放棄」という言葉になっていますので、

国際紛争の解決手段としての戦争をしない、
この世に戦争という戦争という選択肢があるように思えても、
戦争という選択肢を選ばない、捨てる

ということでしょう。


次に、第9条1項を見ます。

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、
国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

とあります。


日本国民は、憲法前文で規定されている
われらとわれらの子孫ということでしょう。
(第10条で、法律による線引きをすると書いてあります。)


正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、とあります。
正義と秩序を基調とする国際平和と言っているので、
国際平和のためには正義と秩序をベースとするものであると書いてあります。

国際平和に必要だと言っている
正義と秩序の言葉を一つ一つ見ると、

正義とは辞書義で、
「1.正しい道義。
2.他者や人々の権利を尊重することで
各人に権利義務・報奨・制裁などを正当に割り当てる」
ということですので、
反対の意味は「不平等、権利侵害、勧善懲悪がない」などになると思います。

秩序とは辞書義で
「2.社会の諸要素が相互に一定の関係、規則によって
結びつき、調和を保っている状態」だそうなので、
反対の意味としては
「混乱状態(言葉が通じない状態、何が正義か決まっていない状態)、
争い(正義の価値観がぶつかっている状態に起こる)状態」
ではないかと思います。

お互いの国同士間で「正義である」という状態がどのようなものかが
共有されて、両者共がそれに従っている状態

正義と秩序のある世界となるでしょう。

日本国と日本国民は
この平和な状態を誠実に希求すると宣言しています。
誠実にとありますが、
辞書義では「偽りがなくまじめなさま。真心が感じられるさま」とありますので、
「心から真摯に」ということになるでしょう。
(僕の感想:嘘ついても、時間がたつと我慢できなくなるでしょうから、
たばかるにしても、結構大変なことになるでしょう。)

希求し、ですので、
「強く追い求める」ということでしょう。


国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、
とありますので、
一つ一つ見ていきたいと思います。

国権の発動たる戦争から考えます。
国権という言葉ですが、
辞書義では、
「国家の持っている国内を統治したり、外国と交渉したりする権力。 国家の統治権。国家権力」
とありますので、
国の持つ権力と権利」と読みたいと思います。
(ちなみに、「統治権」は辞書義では、「国土、国民を治める権利、主権」だそうです。)

ですので、
国権の発動たる戦争とは
国の持つ権利が生じて、国の権力として行使する戦争」となります。

つまり、
国家間の政府主導による戦いと争い状態」でもあります。


武力による威嚇又は武力の行使の2つの言葉を考えます。

武力による威嚇「武力を当てない」行為で、
武力の行使「武力を実際に当てる」行為です。

武力による威嚇は「威嚇」は脅す行為ですので、
相手さんに「こわかったよ〜」と言われたら、
威嚇成立ではないかと思われます。

しかし、
ブラフのカードとして使えるのではないかと思います。

実際に「現に使える武力があるよ」と見せることで、
「弾を当てる意思があるか、ないか」自体は
相手からは見えませんので、
(たとえ、撃つと法律違反になるとしても)

脅しとならなければ、

相手さんに考え直してもらう機会を作ることはできる
のではないかと思います。

つまり、相手方の方向に向かって撃たず、
明後日の方向に撃つ分には、
「考え直してね」というメッセージになるのではないか
と思います。


現行の自衛隊、警察(海上保安庁)による
「領域侵犯の外国機、外国船への威嚇射撃」
と言われているものは
上記の使い方なら大丈夫ではないかと思います。

(威嚇射撃まで状況が進むのは
領域侵犯という犯罪行為をする言葉による警告が通じない相手ですんで
対応の仕方が変わるんでしょうが、
戦火にならないようにしないといけません。)


ただ、当てるか当てないかの方針自体は
日本国内でどういう方針か一致しないといけませんので、
外国に対しても秘匿情報とはなりません。
(憲法でネタバレしているということになります。)


「核兵器」を絡めて議論されることがあると思いますが、
現在の国際社会的にも
「持つこと自体」が威嚇と捉えられるようですので、
日本国はこの憲法下では持てないでしょう。
(僕は「核兵器の存在自体」反対です。)


武力の行使は「武力を実際に当てる」行為ですが、
実際に先に当ててしまった場合、
どのように反応し対応してくるかは
相手さんに全てをゆだねることになりますので、
自分たちの思い通りに行く保証は全くなく、
まったくもって良い方法ではないでしょう。

防衛として攻撃を返す権利は次の第2項で自ら認めていませんので、
防衛としても攻撃を返し当ててしまう行為は憲法違反となります。


国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
とありますので、
国際紛争という国家間の意見や利害の不一致による争い
国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使で解決する選択肢と権利を永久に捨てる
と言っています。

永久にとは、「期限なし」とも言えますが、
「日本国として、日本国民として」なので、当然国がなくなれば反故になりますし、
「この憲法のある間」という期間限定ともなるでしょう。

しかし、実際には「期限なし」のつもりで、
正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求するべきでしょう。


この項の最後に、
国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使の関係
を考えたいと思います。


図で表すと、

のようになるでしょう。

図の解説をすると、
武力による威嚇、武力の行使共に、
国間の政府主導による戦い争い行為となるでしょうから、
国権の発動たる戦争の中に入るでしょう。

また、
これらの行為をして、国間の政府主導による戦い争い行為でない行為が
具体的に何があるか考えた場合に、
人間の行為としてこの世に存在していなさそうですので、
一応、きちんと全部を考えるために、
論理的には存在するであろう部分集合を図に付けましたが
空集合となりそうです。

両者はnotの関係(否定の関係)にあるので、
武力による威嚇、武力の行使に重なる行為はなく、
集合自体は重なりません。

また、
武力でない国間の政府主導による戦い争い行為も
放棄している
と考えられます。


次に、
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。

とあります。

前項の目的を達するため、ということで、
具体的な手段を
陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。
明示しています。


陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。とありますが、
近年宇宙開発が盛んになりましたが、その他の戦力宇宙軍が入ることでしょう。

つまり、全ての戦力を持たないと宣言しています。

戦力は戦うための力ですので、
同じもの(戦争の道具とされているもの)でも、
「目的違いですよ」と言えば、持てることになるのかもしれません。

つまり、用途を具体的に明らかにしない武器は持てません。

保持とは、「攻撃力のある状態で持つこと」でしょう。

日本の国、日本の政府、日本国民が
武器を対外国用に持てない

ということです。
(前項の目的が国際紛争の解決でしたから。
自衛隊が「何から自分たちを守るのか」が重要で、
自然災害の被災者救済などはありでしょう。
ちなみに、日本国内の法秩序を守るために、
装甲車が出ることは憲法上ありえるかもしれません。
実際に「治安出動」があります。)


国の交戦権は、これを認めない。ですが、
交戦する権利を自分たちで認めていませんから、

戦闘行為を交えると、憲法違反となります。


つまり、
自衛、国防の意味でも、
対外国からの攻撃に対して、撃ち返すことを
自分たちで放棄していることになっています。


<僕の考える背景>

自衛権のない国となり、普通では立国できない状態だと考えられますが、
日本国は太平洋戦争の敗戦国としての立国ですので、
この状態では認められなかったのでしょう。


前文を解釈した時に、
自分たちがバーバリアンでないことを証明しないといけない
日本の国際社会における国情が浮かび上がってきたのですが、

「戦争する意思、頭脳」があれば、バーバリアンの国であると
国際社会から見なされ、国として存在できず、

「実際の攻撃力」自体も持たないという

二重の制約がかかっている状態であろうと言えます。


それだけ、
敗戦国となった時点での
日本国、日本国民の信用がなかったということでしょう。


しかし、この憲法の文言ままでは
日本国が相手のいいように攻撃されまくり、
日本国民が大変にひどい目に遭う可能性を
現実的に否定できるものではありません。


が、日本は
日本人の考えによる軍の保持、運用は
対外国的にできないことになっています。

日本の政府が信用されていないということでもあるでしょう。


で、どうなるかというと、
前文に書いてある、日本が信用しているという
平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと
努めてゐる国際社会
が日本の窮状を見殺しにせず、
助けに来ることを期待することしかできません。

しかし、
ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利
奪われている日本国民を見殺しにすると、
見殺しにした国は「バーバリアン」となるでしょう。


ですから、
平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと
努めてゐる国際社会
の軍が来て守ってくれるはずで、
例えば、国際連合の軍が来てくれるはず
なんですよね。

しかし、
隣国が拒否権を持っている国連軍の出動を期待することは現実的ではなく、

この憲法を制定するのに主導的だったアメリカ軍が
日本の考えとは独立して日本国を守りに来てくれている現在の状況が
合憲となるもよう
です。
(日本の政府が頭となっている軍は認められていないので。)


憲法の文言的には
平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと
努めてゐる国際社会
の一員であれば、
誰が守りに来ても、「問題はない」んですが、
とにかく、日本の政府が使える戦力があってはいけないんです。
(日本国内にアメリカ軍がいるのは問題ないんです。
その戦力を使う「頭(意思)」は日本政府じゃないですから。)


アメリカとしても、自国の領土の周辺域に
アメリカの国防を目的とした軍運用に関して
自分たちの国の意見の通る国がある方が安全でしょうから、
自国の利益のために、
気合を入れて日本国を守ってくれることを期待するより他はありません。
(日本としても民主主義のほうがいいみたいですし。)


しかし、アメリカの選挙に関して日本人は口出しできず、
軍運用の内容を決めるアメリカの政治家を直接選べませんので、
アメリカの行動に日本人は口出しをできません。

ですから、
非常に不安定な状況でもあると思います。


<僕の提言>

僕は自分たちの意思で自衛するための手段がない状況は
生存権の観点からも、福利を守る観点からも、
通常はありえないだろう
と思います。

個人や団体を守る上でもそうですし、
(日本国内に銃はいりませんが。)
国単位の集団を守る場合も同じだと思います。


結局、軍を動かす日本の頭(日本政府)が
平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと
努めてゐる国際社会
から信用されていないのが原因のようですので、

国際社会に伺いを立てつつ、
自軍を持てるようにするのが本当は良いのではないか
と思います。
(自軍というと怖い感じもしますが。
どう運用されるかわからないのが恐ろしいですし、
日本国だけで防衛しきれる能力が
現在あるかどうかも不明ではないか
と思います。)


とにかく、
「戦争を引き起こすような
戦争的な考え方をしない、
犯罪をしない」
と信用できる政権をきちんと作ることが
憲法第9条を議論する上で一番先ではないか

と思います。

あくまで、「敗戦国」としての立場が
完全には消えていなさそう
なんですよね。




<追記>2020.02.24

前文との関係と改憲の必要性の是非


前文で示されている精神を実現するための
具体的な個々の条文がある

と考えるべきだと思います。


前文との関係として、
特に前文の
政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、

ということを
実現するために第9条があるだろう
と考えられます。


「自衛する」ということは、
「自分たちの行為によって自分たちを守り、その恩恵を自分たちが受ける」行為ですので、
「主権が自分たちにある行為」となるでしょう。
前文の解釈で「主権」という言葉を考えた通りです。)


「全ての主権が国民にある」ことをうたっている日本国憲法ですが、
「自分たちを守るための主権」について考えてみると、

交戦権のない第9条の状態で
言葉による対話、交渉、警告が通じない犯罪者対応を
自分たちできっちりできるかどうかが議論すべき問題でしょう。

実際問題として、
「自分たちを守るための主権」がフル(完備)の状態で持てているかどうか
ということになります。


現在のところ、
アメリカにお願いするという選択をして
自衛のための対策をしている状態のようです。


「アメリカにお願いする」のが
自分たちを守るための自由な選択の場合、
「自分たちを守るための主権」を完全に行使できている
ことになりそうです。
(後述するように「確実に即座に」対応されることが重要で、
「そのために良い選択かどうか」は「主権が行使できているかどうか」とは別です。)


前文の
政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、
を実現するために、

第9条のような条件を満たさないと実現できないのかどうかも
議論すべき対象であろうかと思います。


第9条が前文より厳しく権利の制限をしていた場合、
前文をきちんと体現できていない
ことになるでしょう。


自分から攻撃する必要性をうたうと、
「ならず者国家」となりますので、
武力行使に関して、
「自分たちを守るための主権」だけを議論すべきでしょう。
(僕も自分から攻撃しないといけない理由がわかりませんので、
必要ないと思います。)


武器は扱う人間の意図によって、
いかようにでも使えるものですので、

政府が善良かどうかで、
実際の運用が変わってしまうかもしれません。


ですので、
基本的には
武力、戦争による国際紛争の解決をしないという姿勢はいい
と思うのですが、

実際、何が不安で欲しいかというと、

とりあえずは、
「日本国民の生命、安全、福利が侵害されるような
意図的な攻撃があった場合」で
実際に武力で攻撃された場合の
その武力の直接の排除
だけでも
確実に即座にできたほうが安心
なんですよねぇ。
(あくまで、「専守防衛」です。)


でないと、殺されたり襲われたりする一方になっちゃうんで。
襲撃されているその人たちを盾にすることになるんですよ。

過失の場合で、相手さんも日本を傷つけたいと思っておらず、
無人(生物がいない状態がいいですけれど。)なら
2国間の平和を保った状態で排除できるだろう
と思います。


これは
前文の
政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、
に反する行為なのかは議論しても良いのではないか
と思います。


「日本国民の生命、安全、福利が侵害されるような
意図的な攻撃があった場合」で
実際に武力で攻撃された場合の
その武力の直接の排除

という条件を考えた場合に、

どんな場合のどの行動が妥当で、妥当でないかの判断をしないといけませんが、

善良な人の判断でないと
拡大解釈による戦争という犯罪行為が行われるという
恐ろしいことが起きかねないだろう
と思います。
(例えばの拡大解釈の例として、
「反撃しちゃっていいよねぇ」とばかりに
必要限最小の武力でない攻撃をすると、
それだけでも、
必要以上に攻撃してしまって、
反対に反撃した側が犯罪することになってしまいますし)

条件を付けた限定的にでも、
「武力の行使」に当たる行為を一部解除すること自体、
「政府が善良かどうか不明」とされていそうな日本では
「アメリカにお願いする」より危ない行為かもしれない
かもしれませんし、
そのように他国から思われるかもしれません。


第9条の変更の必要性の是非が議論されていますが、
(そもそもの姿勢としての「前文」も考えるべきでもありますが。 僕個人の意見としては前文は今のままで良いと思いますが。)

今現在の日本国の条件で、
「日本国民の生命、安全、福利が侵害されるような
意図的な攻撃があった場合」で
実際に武力で攻撃された場合の
その武力

「確実に即座に」直接排除するために、

日本国の判断でできた方がいいのか
(この日本国の判断が信用されていないんですし、
大丈夫そうな気がしない人もいるかと思いますが。)
「アメリカにお願いする」方がいいのか
の議論が先ではないか

と思います。


つまり、
「日本国の政府として善良な政府を作り続けられるのか、
実際に自分たちで守りきれる実力があるのか」


「アメリカが心変わりしないか。
アメリカが善良な国家で居続けるのか」

の天秤かと思います。


難しい判断ですが、
一応、今でもアメリカにお願いする形で
「自分たちを守るための主権」は行使しています。

(他に不安な場合があるのであれば、
ぜひ忌憚なく議論していただきたく思います。)


ただ、武力を使うと、戦争になるリスクは高くなるだろう
と思います。


できる限り、攻撃の応酬にならないように
テンションを下げる方向性で
全面的な攻撃の応酬とならないようにキープして
解決していく方がいいと思います。


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