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○○の解釈
> その3 有理数、無理数の連続
その3 有理数、無理数の連続
(2020.11.12掲載)
実数に含まれる数である
「有理数(互いに素な整数の分数で表される数)」と
「無理数(互いに素な整数の分数で表すことのできない数)」
の連続について考えてみます。
「有理数」と「無理数」は上記の定義より
互いに否定(NOT)の関係にあるので、互いに共通する数はありません。
よって、
「実数」の集合=「有理数」集合+「無理数」の集合
です。
1:「有理数」は連続するのでしょうか。
調べてみます。
隣り合う2つの「有理数」の間に「無理数」があった場合、
「有理数」は連続しません。
次の定理を証明します。
定理:○○3−1
「有理数qと∀ε>0 (ε∈
R
)の差のある
q+εの間に無理数q+ε
1
が存在し、
全ての2つの有理数は連続しない」
<証明>
今、ε
1
が有理数の場合、
qとε
1
は分母の通分により、
共通の分母を持つことができるので、
q+ε
1
∈
Q
。
(有理数に有理数を足すと有理数)
次に
ε
1
が無理数ならば、
ε
1
を分数で表すことができないので、
q+ε
1
を分数で表すことができない。
よって、
q+ε
1
は無理数。
(有理数に無理数を足すと無理数)
ここで、
ε
1
≡
a
×10
-2×m
(aは任意の素数、例えば2など; ∀m∈
N
)
とすると、
m=
1
2
log
10
a
ε
1
であり、
0<ε
1
<ε
となるような
最小のm
(m<
1
2
log
10
a
ε
)
が存在する。
(ただし、ε≤
a
のとき、
log
10
a
ε
>0で、
最小のm≥0。
ちなみに、a>2より
a
>1。)
このmはこの最小値よりいくらでも大きくとることができるので、
どんな∀ε>0に対してもε
1
は存在する。
よって、2つの有理数q,q+ε(∀ε>0)の間に
無理数q+ε
1
が存在するので、
有理数は連続しない。
(要するに、どんなに近い2つの有理数でも、
つまり、
ε
1
がどんなに小さくても、
2つの有理数の間に無理数が存在する。)
(証明終了)
2:では、無理数は連続するのでしょうか?
これからの証明に積分を利用しようと思うのですが、
その準備として、
積分区間の分割について
考えてみます。
(リーマン積分としての面積の足し合わせを考えているわけではありません。)
積分区間は[a,b],(a,b],[a,b],(a,b)のどれでも積分することができます。
そして、
その区間をn個に分割(∀n∈
N
)して
k-1個めの区間、k個めの区間、k+1個めの区間の範囲を考えます。
(今、n>3です。)
k個めの区間の端点をa
k
,b
k
と表すと、
区間内の全ての点は分割されたどれかの区間に
重複なく存在しないとならないので、
k個めの区間の端点はどちらの点も自分か隣の区間に入るのですが、
端点の表し方は
1:,b
k-1
),[a
k
,b
k
],(a
k+1
,
2:,b
k-1
],(a
k
,b
k
],(a
k+1
,
3:,b
k-1
),[a
k
,b
k
),(a
k+1
,
4:,b
k-1
],(a
k
,b
k
),[a
k+1
,
の4通りになります。
n=1のときは
a
k
=aかつb
k
=bで
全区間数は1、
n=2のときは
a
k
=aまたはb
k
=bで
全区間数は2
となります。
n>2のとき、
a
k
=b
k
の区間を含むことができて、
その場合、
区間kの区間は
[a
k
,a
k
]のみとなり、
その区間は実数a
k
の1点のみを含むので、
この区間の幅は0となります。
つまり、
区間の幅0の区間を含む分割をすることも可能であることがわかります。
ちなみに、
この区間の前後では
4番目のようになり、
[
(or「(」
a
k-1
,a
k
(=b
k-1
)],(a
k
,a
k
),[a
k
(=a
k+1
),b
k+1
]
(or「)」
となります。
では、
元に戻って、
次の命題を考えてみます。
命題:○○3−2
「
f(x)=
{
1 (x= 有理数)
0(x=無理数)
のとき、
区間0≤x≤1におけるf(x)の面積S
1
=0。」
<証明>
区間の分割の仕方は
有理数のみの区間と無理数だけの区間にわけることにする。
全ての有理数に0から順に順番を付けて
k番目の有理数を
q
k
と表すことにすると、
この分割は
[0,0],(0,q
2
),[q
2
,q
2
],・・・,(q
k-1
,q
k
),[q
k
,q
k
],(q
k
,q
k+1
),・・・,[1,1]
と表される。
(ただし、q
1
=0)
<定理:○○3−1>より、
全ての有理数は連続しないので、
全ての有理数のみの区間の距離は0。
よって、
それぞれの有理数の区間の面積は
f(x)×0(区間の距離)=1×0=0
で、
それぞれの無理数の区間の面積は
f(x)×0(区間の距離)=0×L
i
=0
(ただし、L
i
はi番目の無理数の区間の距離。L
i
>0でもL
i
=0でも良く、ここでは問わない。)
となり、
全ての有理数、無理数の区間を足し合わせた面積は0となる。
証明を見て明らかなように、
どの区間でf(x)の面積を求めても、0となる。
この面積を求める区間が無限
(つまり、少なくとも片方の端点の絶対値が無限大)
であっても、
f(x)の面積は0となる。
(証明終了)
さて、
次の問いを考えてみます。
問:○○3−3
「
f(x)=
{
0 (x= 有理数)
1(x=無理数)
のとき、
区間0≤x≤1におけるf(x)の面積S
2
はいくらか?」
やはり、
きちんと面積を出すためには、
有理数のみの区間と、無理数のみの区間に分ける必要があります。
<命題:○○3−1>と同じように
分割をして、
全ての有理数に0から順に順番を付けて
k番目の有理数を
q
k
と表すことにすると、
この分割は
[0,0],(0,q
2
),[q
2
,q
2
],・・・,(q
k-1
,q
k
),[q
k
,q
k
],(q
k
,q
k+1
),・・・,[1,1]
と表される。
(ただし、q
1
=0)
(再掲します。)
この時、
<命題:○○3−1>と同じように面積を求めようとすると、
それぞれの有理数の区間の面積は
f(x)×0(区間の距離)=0×0=0
で、
それぞれの無理数の区間の面積は
f(x)×0(区間の距離)=1×L
i
=L
i
(ただし、L
i
はi番目の無理数の区間の距離。L
i
>0でもL
i
=0でも良く、ここでは問わない。)
となって、
面積S
2
を求めるためには
L
1
の和を求めなければなりません。
L
1
の一つ一つわかるぐらいなら、
連続かなんてところの議論はしません。
最初に書いた「有理数」と「無理数」の定義より
「実数」の集合=「有理数」集合+「無理数」の集合
です。
実数全体での面積は
f(x)=1 (0<∀x<1)の面積Sで、1。
よって、
S=S
1
+S
2
より、
S
2
=S-S
1
=1-0=1。
(解答終了)
よって、
全てのL
i
=0の場合、S
2
=0となるはずなので、
全てのL
i
が0ではなく、
少なくともいくつかのL
i
は何らかの有限の値を持つ。
ここで、
L
i
=0となる区間があるか
、
考えてみましょう。
もし、ある無理数の区間iの区間の距離L
i
=0とすると、
その前後の区間を考えると、
[q
i-1
,q
i-1
],(q
i-1
,q
i
),[q
i
,q
i
]
となって、
この3個の区間の距離は0ではなく有限の値を持つことになり、
S
2
の値は1より小さくなるはずである。
実際には、
S
2
=1となっているので、
区間の距離L
i
=0となるような
無理数の区間iは存在しない。
よって、
全てのL
i
が0ではないので、
0<x<1で全ての無理数は有限の距離の区間内に存在し、
全ての無理数は(少なくとも大小の片側に)隣り合う無理数があり、
全ての無理数は連続する。
この議論はどの面積を求める区間においても
成り立つ。
よって、
実数のどの範囲であっても、
無理数は連続する。
(無限と言われる数の領域でも、有限の距離の積分区間を取れるので、
同じことが成り立つことを証明できます。)
以上より、
定理:○○3
「「有理数」は連続しないが、
「無理数」は連続する」
が証明された。
(ちなみに、面積でなく、区間の長さの和だけでも議論もできます。
また、積分をする区間の端点は入っていても入っていなくても構いません。
どんなに距離0の切断が入っても、面積は変わらないことがわかりました。
羊羹に、羊羹がくっつかない包丁をいくら入れても、
切断されたものを元のようにそろえても、
体積は元のまま
ということが表されています。)
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