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○○の解釈



その8 5針式電信機の伝送能力の考察(掲載日 2021.04.14)

クックさんとホイートストンさんが
イギリスで1837年に5本の電線を使って、文字を送ったそう
なんですよ。
(「Cooke and Wheatstone five-needle telegraph」by Science Museum in UKさん)


(Science Museum in UKさんのホームページより)

の写真のように、

方位磁針を使ったんだそうです。


電磁気の性質の

電流の進行方向に向かって右ねじの回り方の向きに
電流の周囲に磁気が生まれる性質を使って、

電流の上に置いた方位磁針を左右に振ることで
文字を表したそうです。


実際の運用の仕方としては
5本のうち2本の電流に上向きか下向きかの電流を流して
2本の方位磁針を左右に振ったそうです。





そして、
下の図のように

2つの針の先にある文字、
つまり、
2つの針のさす向きの直線の交点の位置の文字を
読んだそうです。




で、
このシステムで送れる文字の種類は
上側を見ると



となっていて、
数えると10個の交点があることがわかる
と思います。


実際に計算すると、

のように5個の方位磁針の中から
2個を選んで交点を作るので、



のように
10種類の文字を送れます。


下はいくつの交点があるかを考えると
数えても、上の組み合わせの計算をしても分かりますが、
10個あります。

ここで、
上と下の交点の関係を考えてみましょう。


上側の点を表すには
図のように右と左に針が振れています。

下側の時には

のように

それぞれの針の触れる向きを反対にすれば
下側にある対称な点を示すことができます。


これで、
10x2=20で
数学的にも20種類の文字を伝送する能力があることがわかりました。


ここまでは「あ〜そ〜、ふ〜ん」かもしれませんが、
この電信機は人が使う道具ですので、
人の都合が入っての設計となっているかもしれません。




そこを考えてみたいと思います。
ここからが本番です。)


5本の電線を使っていますが、
このシステム自体の表すことのできる文字の種類は
いくつでしょう?




5個の方位磁針は
「振れない」、「右」、「左」の3種類の状態を示す能力があります。


「振れない」=「0」、「右」=「1」、「左」=「2」を表すとして

のようにできますので、
(数字にしなくてもいいのですが、計算機と対応して考えてみるため。)

3進数です。


ですから、
3の5乗=243種類の状態を示すことができて、

機械自体には 「信号(文字)を送らない」=「00000」を除いた
242種類の文字を送る能力があった
んです。


しかし、
誤解なくミスなく文字を送信するためには、

左右の5本の指を使って、
押すのはピアニストでも難しそうなので、

右手と左手の2本の指(腕)を使ってしか
送信してなかった

ようです。


そのため、
人の能力のために機械を使いこなせなくて、

242個の種類の文字を送る能力が
目減りしてしまいそう

です。



5個のうち2個の方位磁針を選んで
左右に振らせて表すことのできるようにすると
何種類の文字を送ることができるでしょう?



B
D↗、↗↗、↖
↖、↗↖、↖

のように

方位磁針の振れる向きの組み合わせとしては
4通りあります。


そして、
5個のうち2個を選ぶ場合、
組み合わせ的に10通りありますから、

4x10=40種類の文字が送れます。


しかし、
実際には
方位磁針自体を見て文字認識をすることが難しかったのか、
ミスなく文字認識をしたり、
覚えたりするのが難しかったのか、
わかりませんが、

文字盤を使っています。


平行な向きの直線は交点を作ることができないので、
反対向きに振れた場合しか使えず、

4種類の振れる向きの組み合わせのうち、
2個の方位磁針が反対向きに振れている2種類の場合のみ使っているので、

実際には
2×10=20種類
の文字の伝送能力の機械として
使っていたよう


です。


結局、
一斉に5個送信できたり、
一気に5個の方位磁針を直接読むことができれば、
242種類の文字を送受信で来たのですが、

人の身体能力的に5個のうちの2個の方位磁針を一度に動かすシステム
となって
40種類の文字の送受信の能力となり、

さらに、
方位磁針の振れるパターンを直接読むことをしていないために
(確認システムだったかもしれませんが。)

目視で文字を示すものを見るために

20種類の文字の送受信の能力の機械として
取り扱っていたようです。


このように、
実際に人の使える機械とするために
使う人の能力に合わせた設計にする必要があって、

送受信能力が変わってしまったのではないか

という

考察
となりました。
(面白かったです。)


ただ、
20種類でアルファベット26文字には足りなかったそうなのですが、


のように

6針式にすれば、
30文字送れるので、

アルファベットは網羅できたと思うのですが、

やはり、視認の問題か、6本の電線代のお金がなかったかで
5針式となっているようです。


5針式でも
直接、方位磁針を読めれば、
つまり、方位磁針のパターンを文字と対応して覚えていれば、
40種類送れるので、

アルファベットと数字と送れて望ましい状態にできた気がしますが、

やはり使う人の能力の限界が
機械の性能設計的に影響して
ダウングレードした設定の状態で使う状況となっているもよう
です。


やはり、
電気的な信号と文字とを交換するというのは
電気的な信号のパターン自体には意味がないので

人には難しいようなので、

今のパソコンのように
機械が変換作業を担当してくれると
間違えがなくてありがたいし、
(すばやくもあります。)

現在のメールやウェブの発展があるんだろうな

と思います。
(機械は「電流が流れていない=0」、「電流が流れている=1」の2種類で
状態判別しているので、2進数です。)




<ついでに考察>
その1
僕だったら、

操作自体を体感的にわかりやすくするために、

右左振るのと
体の動きと一致させて

回転式のスイッチにしたんじゃないかと思うんです。


これだと
一度には腕の数と同じ2本の方位磁針しか操れません。

この方法だと、
絶対に
5個で表すのに、一度に変えることができなくて、

「文字しめす」→「ばらばら変えて」→「00000」→「ばらばら変えて」→「文字示す」→(の繰り返し)
となっちゃって、

「文字が示されている」のか「変わっている最中」なのかが
明確にわからないので、
(直接確かめようにも、遠くにいるんで、無理ですもん。
「そろったよ」の「確認信号がいるんですよね。)

同時に操れる最大数の2個の方位磁針で設計となるに違いありません。


また、 使う都合(運用の都合)的には

機械的に複雑だと
故障のしやすさ、つまり、耐久性に難が出て

メンテナンスに手間がかかりすぎるかもしれないので、

押すだけのスイッチになったのかもしれません。
(指で操るなら、10個のスイッチを押せるのですが、
人的な能力の都合上難しそうに思えます。)


その2
また、

人に3本の腕があって、
3この方位磁針を操れると、 8個の矢印のパターンを作れるので、

26文字を送るのに、
4本で済むのですが、

直線の交点は2本の直線で作るのが一般的なので、
(3本で作ると、3本が1点で交わらないとならないので、特殊な場合となります。)

結局、
2個の方位磁針での利用にしかならない

んですよね。


手と視認性の両方で
2個の方位磁針で表したもよう
です。




<感想>
それにしても
賢いものを作ったんじゃないかと思います。


できる人たちでしょうから、
何個送れるかの計算ぐらいはできていたでしょうから、

わかって人の都合に合わせて設計したのではないか

と思います。


解釈する人より
作った人(クックさんとホイートストンさん)が偉いのですよ。


だって、
解釈する人は
作ったアイデアを聞いてしまっているので、

何もない所から
アイデアを作った人よりは全然えらくないのです。
(やっぱり、僕にとって、人の作品の解釈は勉強なんですよね。)




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