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 み山には 松の雪だに きえなくに 宮こはのべの わかなつみけり



分析
 み山には 松の雪だに きえなくに 宮こはのべの わかなつみけり 分析



解釈

松の枝の上の雪すら消えていない山奥と
雪が融けて地面が見えているだけでなく、若菜まで生えている都の対比だけにとどまる歌ではない。
政治上の中心なだけでなく、流行などの発信地でもあったであろう宮中は、
「季節すらも先取りするのよね」という憧れの気持ちがあると考えても良いと思う。
(若菜摘みの噂を聞いて、雪がまだ深いことへの愚痴を言ったとも読めないこともないが)

憧れがあるのではとした理由は、
作者が詠み人知らずで地方任官の卑官の人だからではないかと考えたからである。
また、若菜摘みはワイワイやるものであろうから、
楽しさが伝わってくるので「いいなあ」という気持ちがより強く喚起されると考えられるからだ。

「み山」を「御山」とするか、「深山」とするかだが、
御山のほうには神々しいイメージが少しつくのだが、
山よりも都の方を持ち上げたいはずの歌なので、
「深山」とするほうがより対比がついていいと思う。




歌意

題不明

深い山奥では松の枝に積もった雪ですら消えていないというのに、
宮中では野原に出て若菜摘みをしたそうだよ
(いいなあ)

詠み人知らず




感想

宮中への憧れを「季節すらも先取りする」という意味合いの表現で表したところが面白く、うまいと思う。
人の力ではどうにもならないはずの自然に関しても天皇は中心で、
宮中から雪が融けるとまで言っているのではないかと想像したくなる。
宮中からあまねく発せられる光の存在を信じられそうである。




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