春になったというから、風物詩の春霞が立っていてもよさそうなのに、山奥では今だ雪が降り続けているということを詠んだ歌。 春を待ちわびながらも、「たてるやいづこ」という言葉の調子から、春になったのにまだ雪真っ盛りなのを面白がっているようにも取れる。 吉野に住んでいる人の歌ともとれるし、何かの用事で吉野の里に来た人の歌ともとれる。 桜の名所なので、春真っ盛りの季節のほうが好まれることは容易に想像できる。