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霞たち このめもはるの雪ふれば 花なきさとも 花ぞちりける



分析
霞たち このめもはるの雪ふれば 花なきさとも 花ぞちりける 分析



解釈

降っている雪を、季節より一足早く散ってしまった花と見立てている。
雪が降るように花が散る光景も目に浮かぶし、花が散るように雪が降る光景も目に浮かぶ。
この歌では後者だが、どっちでも美しい。




歌意

雪が降ったのを詠んだ歌

春霞が立ち、木の芽も膨らんだ春に雪が降ったならば、花のまだ咲いていない里でも、雪の花が散っているよ

紀貫之




感想

春になったことで花と雪を掛けた歌。
季節に遅れていることを詠みながら、
季節の先取りになっている時節感覚がおしゃれである。
人里で雪が花びらのように舞降っていることを想像するととても美しい。
世界全体が雪の花というのは盛大で豪快でもある。
春らしさが遅れていることに対する愚痴ではなく、美しさに昇華させているところがいい。
また、上の句の助走から、一転して下の句であでやかな世界が広がるのが素晴らしい。



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