ファニーステップ > ○○の解釈 > その6 「実数」と「自然数」

○○の解釈



その6 「実数」と「自然数」(掲載日 2021.01.30)

ここでは、0以上の「数」について議論します。
(負の数については、原点「O」に関する鏡の世界ですので、
向きは反対ですが、
正の数と同様の議論となります。

根本の根」の中学生編「1. 負の数って何?」参照ください。)

「実数」という数字だけを考えると、
「実数空間」という考え方になります。

その空間では、
構成する「数字」だけが存在しますので、

「直線」で言うと、「点」のみを意識して見ていることになります。


しかし、
「長さ」を数値化する(数字化する)ことで「実数」が生まれることを考えると、
「実数」は「直線」の上の「点」の位置を由来とする数字であることから、

「長さ」という背景を失ってしまった「実数空間」では
「数」という「点」からしか議論できず、

「点」を出発点とした議論からでは直線的な連続性を議論できないように、
きちんと「実数」の性質を追うことができないようです。
(「○○の解釈」の「その5 実数とは何か?」参照ください。)


僕は
「実数」というのは
非常に人為的な概念ではないかと思います。


「直線」には、
人間が決めない限り「1」という「長さ」はありません。
(「1」については 「根本の根」の小学生編「1.割合で出てくる1って何?」参照ください。)


「直線」は連続体であり、ゼリーや水のようにuncountableです。


そこに、人為的な物差しである「1」に当たる「長さ」を決めて、
その「長さ」との比の値を「実数」としました。


さて、
「自然数」というのは
「実数」ほど人為的ではないようです。


なぜなら、
石が別個の境界を持ち、一つ一つ分かれていて、
1個、2個、3個、…と数えられるように、

「存在」の個数を表すからです。


「存在」するものは必ず、それ一つ一つが1個であり、
それを集めれば、「何個か」ということを表すことができます。
(countableと言われるものです。)


半分の「存在」の犬もいませんし、
木が2つに割れれば、2個の「存在」になります。


漢数字の「一、二、三」やローマ数字の「Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」のように
存在する個数そのもので
数の大きさを表す記号そのものにすることができます。
(アラビア数字の「1」もでしょう。)


ただ、人間の把握能力として、
ぱっと見て「146個」あるのか、「147個」あるのかの区別がつかないので、
10個ごとに縛ったまとまりを作って、
その個数の数字を並べて10進数にして数を記しているだけです。


人間にとって明らかに大きさを把握できるのであれば、
「146個」の点を書いて、「146」を表しても問題ないでしょう。


「146」という人間都合の10進数の姿をしている必要はないので、
10進数の記法は人為的なものですが、
「数」そのものは存在します。


ですから、
自然の中に「自然数」はあると言えるし、

人間が個数のという「数」の属性に注目しているから
「数の概念」がある、
つまり、「人為的な概念である」とも
言えるでしょう。
(物を見て、個数ではなく、においや色などの属性に注目することもできます。)


ちなみに、「0」の発見ですが、
存在しないものは「ない」と認識し、そのように答えるのが普通だろう
と思うのですが、

位取りをしたときに、
ある桁に縛ったまとまりの個数がないときは
何かを印に書きたくなるかもしれず、
「0」を生み出しやすい気もします。
(例えば、「105」の十の位のように。)


しかし、
「0」=「ない(「存在」の見えない物)」とするように
発想を転換できたのは
何を起点として発想していようともすごいことだと思います。


人にとっての「数」の概念の基本は
自然に存在する「自然数」ではないかと思うのですが、

「実数」の話に戻ると、
1より小さい「数」が存在します。


「実数」の中の「自然数」以外の数は
1より小さい「数」の部分を持っています。


これは、
何かの大きさを人為的に「1」と決めないと、
出て来ない「数」で、

「実数」の「自然数」以外の数は
自然の中には存在しないように思います。


先ほどの2つに割れた木は
2個の「存在」になりましたが、

人為的に元の木を「1」と決めて初めて、
「0.5」と「0.5」の木に分かれた

と言えます。


なので、
「実数」というものは
「自然数より、より人為的な数だな」と感じます。


「自然数」の概念を使って、
「1」より小さい「数」を表しているのが、

「実数」です。

(ちなみに、
個数に注目した場合の割り算と
「1」に注目した場合の割り算については
根本の根」の小学生編「2.分数の割り算は「なぜひっくり返してかける」の?」参照ください。)


そのため、数字だけに着目しやすいのかもしれません。
(「点」からのアプローチも大事だと思います。)


ちなみに、
○○の解釈」の「その5 実数とは何か?
<数値化(数字化)するときの方法>で、

ある「長さ」を数字化するときに
単位の大きさである「1」(つまり、整数部分のものさし)と
それを10等分ずつして得られる基準の「長さ」(つまり、小数部分のものさし)
を使って、
「数」を表すと言いましたが、

整数部分は「自然数」ですので、
そのまとまりだけで勝手に「数」の大きさを表しますから、

10進数の「10」とか「100」とかの位取りは気にしなかった感じで、
説明を省略しました。
(説明も簡便になりますし。)


連続体の大きさを使う場合には、

それを用いた関係式は
別の大きさを単位「1」とした式が
比例の関係として存在します。


これも、
「実数」は人為的な「数」、概念であることを
示すものでしょう。


ファニーステップ > ○○の解釈 > その6 「実数」と「自然数」
copyright ファニーステップ all rights reserved.

inserted by FC2 system